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他者は鏡

暑い日が続いています。なんでこんなに暑いのか、詳しいことは知りませんが、太陽により地球が熱せられていることは確かです。

太陽を見ると、ぼくは不思議に思います。
目に見える太陽はとても小さい。バレーボールくらいの大きさしかありません。それにも関わらず、太陽は地球の半分を照らし、地球というひとつの世界を温めています。
もちろん、太陽と地球の距離があまりにも離れているため、小さく見えるのですが、それでもぼくは太陽を小さいと思ってしまう。
その理由は太陽の大きさを経験していないからではないかとぼくは考えています。
インターネットで調べれば、太陽の半径や地球と比較した場合の大きさといったデータは手に入ります。しかしデータは経験ならないようです。とてつもない数値を目にしても、やはりぼくには太陽の大きさが想像できないのです。
人は自分が体験したことしか本当の意味でわかることはできないのだと思います。

ある監督がインタビューで「他者とは鏡である」とおっしゃっていたことがあります。その言葉に触れたのはぼくが中学生のときでした。その頃のぼくには、「他者とは鏡である」という言葉の意味がわかりませんでした。このおじさんは何を言っているのだろうと思いました。
ですが、いまなら少しわかる気がするのです。

人は自分の経験したことしか知りえない、と太陽を用いて述べました。それは他者においても同様で、人の気持ちというものを本当の意味でわかることはできないのだと思います。
いま現在の技術では他者の経験を直接的に共有することはできないため、それは当たり前と言えば当たり前の話です。
しかし他者の気持ちを想像することはできます。
人が人の気持ちを想像する、それは、人が自分の経験したことを他者に投影し、何を思っているのか、どう感じているのかを理解しようとすることです。
つまり人は自分の経験という材料を使って他者を形作るのです。逆に言えば自分の経験したことでしか、他者を形作ることができないのだと思います。
そのような意味で、あの監督は「他者は鏡である」とおっしゃったのではないかと、ぼくは考えています。
いつもそのように思うことはできませんが、この言葉を思い出すと、ぼくは自己の限界を認識するとともに、他者の可能性を信じられるような気持ちになります。
新しい視点を与えてくれたこの言葉をぼくはずっと忘れないと思います。

長々と綴りましたが、そろそろ終わりにしたいと思います。
ここまでご精読いただいた方に感謝を。暑い日よりが続きそうです。どうかお体に気をつけて。

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