20代の数年間、私は音楽にしろ著述にしろ、そのアーティストの初の作品ばかりを読み聞き観ていた時期がありました。どうしてそういう事をしていたかというと、当たり前と言えば当たり前なんですが、いわゆる「デビュー作」「初めて作った作品」を作っていた時点ではそのアーティストは謂わば素人であり、その人の感性や個性が一番出てると思ったからです。
例えばかのビートルズのレノン/マッカートニー名義の初の作品は「I saw her standing there」
ローリング・ストーンズのジャガー/リチャーズ名義の初の作品は「Tell Me」 なんとラブソングなんですね。
他にも
ドストエフスキー「貧しき人々」
デビッド・フィンチャー「 セブン 」
ピーター・ジャクソン「バッド・テイスト」
ロバート・ロドリゲス「エル マリアッチ」
クエンティン・タランティーノ「トゥルー・ロマンス」
北野武「その男共謀につき」
高橋源一郎「さようならギャングたち」
等々。
そんなデビュー作探し、初物漁りの中で一番強烈で印象的だった方がいました。
それは「中島みゆき」。
彼女はデビュー前からそこそこ有名な素人シンガーソングライターで、とある素人参加の歌謡祭で優勝してからメジャー・デビューするという、輝かしい未来が約束されていたらしんですね。いわば出来レースです。
その大会の決勝戦のテーマは、与えられた詩をメロディーに載せて歌うことでした。
その時渡された詩はあの詩人「谷川俊太郎」の作品だったそうです。まだ素人の中島みゆきはその詩を読んで思ったそうです。
「こんな素晴らしい言葉に、簡単にメロディーは合わせられない…」
その後、素人・中島みゆきが取った行動が周りを驚かせます。
その行動とは…
続きは次回に。