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歳をとること

誕生日が嬉しい歳でもなくなってきた。最近は毎年誕生日が来ても、少し悲しい気持ちにさえなる。
私は早生まれで、同学年の友達の中では、たいていいちばん最後に誕生日を迎えていた。
高校生ぐらいになると、みんなより遅れて歳をとることに、何となく安心感を覚え始めた。
その気持ちは、大人になればなるほど強くなっていった。

話は変わるが、若い頃から好きなバンドのライブをよく観に行っていた。海外のロックバンドや、日本ではこれから活躍が期待されるインディーズバンドのライブによく通った。その熱気、迫力が何とも言えず好きだった。
その後、生活の変化もあり、音楽を聴く余裕がなくなり、10数年ライブに通うことから遠ざかってしまっていた。このまま音楽から離れていくのか・・と思っていたが、少し前からまた音楽に触れたいという気持ちが湧き始めた。今は少しずつ10数年間の空白期間を埋めようとしている。

そのころ夢中になって応援していたミュージシャンたちも歳をとっている。容姿がまるで変わってしまった人もいれば、体型を維持して今でも変わらずロックしている人もいる。顔にはそれなりに皺が刻まれている。
それを見ていると、歳をとっているのは自分だけではない、と思う。憧れの人も同じように歳をとっている。そして、今できることを精一杯やっている。
その姿を見ていると勇気づけられる。単純だな、と自分でも思うけれど。
もっと遅く生まれていたら、このミュージシャンたちに出会うこともなかったかもしれないと思うと、私は今この歳でよかったのだと思う。

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